やっぱり右側に気をつけろ

深読みと勘違いのドドスコ批評。

『緊急対談 川上量生、立花孝志【ReHacQ SP】』に驚いた。

面白いっすねー

「日経テレ東大学」の打ち切りを経て、テレビ東京を辞めた高橋弘樹氏が立ち上げたyoutubeチャンネル「ReHaQ」は、番組をまわす高橋氏がよく口にする「面白いっすねー」のとおり、とても面白い。

で、「緊急対談 川上量生、立花孝志」。

「209万回視聴・5ヶ月前に配信済み」とあるこの動画を、今更ながら昨晩視聴。2時間半、まんじりともせず見入りました。

そして、この動画につけられていたコメントにとても驚きました。

感想が真逆。

1万7千というコメント数にも驚きですが、僕が驚いたのは、すべてを読んだわけではありませんが、目にしたほぼすべてのコメントが立花氏を讃え、川上氏をクサしていたこと。そうです、僕の驚きは、多くのコメント内容と僕の感想が真逆だったことにあります。

これほどの数のコメントが、これほどの一方的な傾向を見せている。さすがに僕自身が世間と大きくずれていると思わざるを得ません。しかしこの真逆ぶり、むしろ僕が感じたことを書くことには意味がある。のではないか。いえ、ないんでしょうね。けど、このモヤモヤ感、なにか書かないとやりきれません。

両氏に対する僕の偏見

感想を書く前に、まず、両氏に対する僕の偏見を告白しておきます。立花氏については、邪悪でゲスいイメージ、できるだけ近づきたくはないひと。川上氏に対してはエキセントリックだけど面白いおじさん。とりわけ「ジブリ見習い人」だった頃、人工知能で動き出したノタノタする生き物のようなものを宮崎駿氏に見せてこっぴどく叱られていたニュースは、宮崎氏の狭量さにがっかりこそすれ、僕はむしろ川上氏の試みにシンパシーを持ちました。またN高校等の創立における社会的意義はとても大きいと感じています。

ということで、そんな偏見視聴の感想であることはあらかじめご了承ください。

で、一旦、多くのコメントを乱暴にまとめると、「論理的な立花氏とオロオロの川上氏」。ということかと思います。

立花氏はぜんぶ間違っている。

さて、立花氏は一点を除き、ぜんぶ間違っています。

川上氏は対話をしに来たのです。川上氏は、ガーシー氏のやり口に対し、監督者である立花さんは「道義的にどう思いますか?」と、尋ねました。

道義的、つまり人としてどうなんでしょうと。それに対して立花氏は道義的責任は感じていると答えました。対話が成立したのはこの一点のみ。そこから川上氏が問うたのは、にもかかわらず彼を諫めない、どころか、利用していたように見えたけど、それは正義なのかな、違うよね。それが川上氏の言い分のすべてです。

対して立花氏の発言が示していたのは、道義的責任はある、つまり人としてはどうかと思うが、法で裁かれない限り何をしてもよく、文句があるなら裁判を起こしてください。という根本姿勢。

ぶっ壊す?

加えて立花氏、正確ではありませんがこんなことを言いました。道義的な責任に対して謝罪はしますが、僕は「革命者」ですから、その目的のために法を犯すことも厭わないし、道義にもとる方法もとりますよと。

法の不備を正すためには法を犯すこともあるだろうことは理解します。しかし政治家は、「人として」この制度や法律はおかしいと思うから不備を指摘したり、足りない法を整備するために頑張るんですよね。NHKをスクランブル配信にすることや年金受給者の受信料を無料にすることが「人として」正しいと信ずる、ゆえに現状を「ぶっ壊す」んじゃないんでしょうか。そのために自身の主張に共鳴する人を集めるのは政治家の大きな仕事だとは思います。

しかし自らも道義的にどうかと認めるガーシー氏の利用という不正義によって党員を増やす。そんな方法が、その目的実現への道に叶っているとは、僕にはとうてい思えないのですがどうなんでしょうか。

もちろん、「道義的」は曖昧な言葉です。だからこその「対話」です。裁判的法的な言語を超えてお互いの正義を持って語り合う。それが意味のある対話だと思います。例え決着しなくともそれを尽くすことは、お互いを認めあうことにつながるのではないでしょうか。「だからサ、裁判起こしたらいいじゃない」では、話にならないのです。

弱者救済。

終盤の「弱者のために何かしてますか?」というくだり。しているなら「具体的にどうぞ」と立花氏に問われた川上氏。僕が一番ヒヤヒヤしたところですが、「しているけど言いません」と答えました。完全に正しい対応です。あのような問われ方で、僕はこんなことしてるんだなんて応じては絶対にダメです。それこそが本当にかっこ悪くダサいことです。ウソだったら死にますか?などの煽りにのらなかったこともまったく正しい。というか、人として譲れない正義観や美意識が垣間見え、僕の川上氏評価はアップしましたし、そんな物言いで言い立てる立花氏にはあらためて呆れました。

最後に

終わり際、川上氏がこのようなことを言いました。対話にはならなかったけど、立花さんの人間性を知ってもらえるこの動画が残ることはよかったと思います。と。僕もそう思いました。ですがそう言った時の川上氏のイメージとは真逆のコメントが溢れているという現実。それがこの投稿の僕のモチベーションでした。世界は果てしないですね。